頭陀袋091 雪舟とネズミの話

令和二年は十二支の一番初め、子年に戻ってきました。
子年生まれの方、それぞれ一つの区切りの年、と受け止めておられる方もあるでしょう。
さて、時は室町時代、備中赤浜(今の岡山県総社市)の禅寺、宝福寺に一人の絵の好きな小僧さんがいました。
毎日の掃除や修行には身が入らず、絵ばかりに興味があって、和尚さんも少し困っていました。
ある日、小僧さんの行いに少し腹を立てた和尚さんは本堂の柱に小僧さんを縛り付けてしまいます。
 

夕方になり和尚さんも、『小僧はどうしているかな…』
少しかわいそうになり、様子を見に行ってみると…
なんと、小僧の足元に一匹のネズミがいるではありませんか。
和尚は是を追い払おうとしてよく見るとそれは何と、小僧が自分の涙で書いたネズミだったのです。

柱に縛られ自由を失っても、自分の涙と足を使って絵を描いた小僧に感銘して、
その後、和尚は小僧が絵を描くことを少しも拒まなかったということです。
小僧さんはその後、京都、相国寺に入り、春林周籐和尚に師事し、禅僧の道を進みます。
応仁元年、室町幕府の遺明船で中国に渡り、天童山景徳寺で修業し、第一座となり、その後、北京に出て礼部院中堂の壁画を描き、名声をあげました。

その後、日本に帰り、画僧、雪舟の名は一層知られるようになりました。

雪舟の絵は写実的表現を特色とし、禅僧の持つ厳しさが表現され、一芸に秀でた人の絵の
極限と、禅の修行による極限を見た禅僧の迫力が、国宝として現代まで引き継がれています。

住職合掌

頭陀袋091 雪舟とネズミの話

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